裏SENTENラボ
ゲーム、マンガ、および、ニュース関のtwitterで流した情報をまとめて記事にしています。twitterが面倒な方は、こちらからどうぞ。 桜戯 @sakuragi_007
東方遊戯戦録 三幕目 「MG橙 潜入編」
東方遊戯戦録 三幕目 「MG橙 潜入編」
絵を描くために久しぶりにノート買いに行こうとしたら、寒すぎて上着を着るために家に戻ってしまったよ。
曇ってる上に風吹いてて、悪天候すぎる・・・。
帰りは雨まで降ってきたし。
絵を描くために久しぶりにノート買いに行こうとしたら、寒すぎて上着を着るために家に戻ってしまったよ。
曇ってる上に風吹いてて、悪天候すぎる・・・。
帰りは雨まで降ってきたし。
大型エレベーターは、高いパワーと多量の物資を一度に運搬できるだけの広さを持った非常に便利な運搬装置だ。
広さはおよそ十畳弱。大型車両も余裕で収容できる広さになっている。
運ぶ物資の重量を考え、相応の強度を持たすため、全て鉄製の資材で組み立てられている。薄汚れてはいるが、丁寧で堅実な造りだ。
物資を乗せる床は凹凸があれば作業や運搬に支障をきたす危険がある。だから、平らになるようちゃんと造られているし、溶接部分も表に出ないよう裏側で溶接されている。
エレベーターの周囲は鉄骨が交差するように、一定の間隔とパターンで組み立てられている。歪みも見えないし、ずれも見当たらない。さらにその周囲を壁で囲い、風除けも完璧だ。
安全対策も当然なされている。エレベーターの使用中に鳴り響くサイレンと黄色いランプの光がそうだ。
エレベーターの大きさを考えれば、一つ間違えるだけで惨事になることは容易に予測することができる。
エレベーターの下に人間がいれば簡単に押しつぶされるだろう。
あるいはエレベーターの端に中途半端に物資を置いて、床と壁で挟んでしまう危険もある。物資はもちろん、エレベーターまでもが潰れる可能性がある危険な事故だ。
だから、エレベーターの使用には、エレベーターが起動していることを周囲に知らせるための手段が必要不可欠なのだ。
でだ。
今この場で、周囲の人間に存在を気付かれると非常に困る人間が一人いる。
エレベーターは起動中だから、当然サイレンとランプも起動中だ。しかもエレベーターは安全のため、非常にゆっくりと上昇していく。人が集まるには十分なほどの時間をかけて、だ。
もし、この状況でエレベーターの外にいる人間に自分の存在を気付かれたら?
気付かれていなくとも、不審に思った人間が集まってきたら?
それは非常に危険な状況だ。下手をすれば最上部に到着したときに攻撃を受け、エレベーターが止まりきる前に殺される危険すらある。
にもかかわらず、当の本人はのんきにエレベーターの中で興奮のあまり走り回っていた。どうやら始めてみる「エレベーター」という機械にすっかり心奪われてしまったらしい。
エレベーターか、なかなかのパワーとサイレンだ。この橙が生まれた幻想郷には巫女しか飛んでいなかった、という感じだ。
「おー?」
エレベーターが終点に近づき、天井と床の隙間から差し込む光が、橙の横顔を照らし出す。
橙が隙間に走りより、隙間から外の様子を覗きこむ。
真っ白い雪原。そこに五人ほど、緑を基調にした戦闘服で身を包んだ人間の姿が見えた。手にはアサルトライフルを一人一丁手にしている。
さらに身を乗り出して五人の姿をよく見ようとした時、橙は潜入前に紫に言われた言葉を思い出した。
『橙。これはスニーキングミッションよ。絶対に見つかってはいけないからね』
「そうだった!」
幸運にも橙の叫び声はサイレンの音に掻き消され、敵に聞こえることはなった。
紫の言葉を思い出した橙はすぐに隠れる場所を探し右往左往する。ところが、今度は不幸なことにエレベーターには荷物一つ乗せられてはいなかった。
隠れられそうな物陰は、ない。
万事休すか。
エレベーターが上がりきり、サイレンもランプも停止した。停止を待っていた五人がエレベーターの中に入っていくる。まずは二人が斥候として中に入り、続いて三人が入り込む。銃口は前に向けられ、いつでも撃てる体勢だ。
エレベーターの中には、驚くことに誰もいなかった。橙の姿もだ。
隠れる場所はないにもかかわらずだ。
先に中に入った二人が中に誰もいないことを確認し、後ろの三人に声を出さず頷くジェスチャーで誰もいないことを伝えた。三人も誰もいないことを確認し頷き返す。
その後もエレベーターの中を警戒し、中を入念に確認しながら、後ろ歩きで五人は立ち去っていった。
それからさらにしらばくして、天井の一角で動く影があった。影は小さな手足を必死に動かし、あぶなっかしい動きで鉄骨を足場に床に降りた。
「ふー。危なかった」
安堵の溜息を吐く影の正体は、紛れもなく橙だった。
隠れる場所がないことに気付いた橙は、頭を抱え天を仰いだときに気付いたのだ。天井の隅が陰になって薄暗いことに。
中に入ってきた五人も橙が天井に隠れているとは想像できなかった。そもそも、五人はエレベーターにいる侵入者が、自分と同じある程度成長した人間、と想定して動いていた。仮に彼らが橙と同じことを思いついても、体を隠しきれるだけ天井に上ることはできないだろう。それこそ天井に張り付くしかないはずだ。だから最初から天井は五人の確認項目の中から除外されていた。
しかし、橙は違った。隅っこに体を寄せればそれだけで体を隠せるだけの小ささが、橙にはあった。
かくして危機を乗り越えた橙はようやく戦艦の中へ、本格的な潜入を開始した。
橙が最初に探したのは、レティがいる場所へ行くための上行きのエレベーターだった。
エレベーターの中に入ってきた五人とそっくりの姿をした見張りの目を盗みながら奥へ奥へと進んでいく。
戦艦の中には荷台が囲いで覆われた軍用車両や、戦車が並べられていた。すぐに心を奪われそうになる自分を諌め、足を進める。
扉の多くは鍵がかけられ中に入ることはできなかったが、中には自動的に開いて橙にも入ることができる部屋もあった。部屋に入った橙は防寒服を脱ぐと並べられた箱の隙間に隠し、代わりに箱の中身を物色し始めた。
残念なことに、某潜入ゲームにも登場した武器もあったが、初期の未熟なグラフィックのせいで現実との差異が大きく橙は気付かなかった。
しかし、何も発見できなかったわけではない。未熟なグラフィックでもステージくらいはちゃんと表現することができる。橙が発見したのは部屋の床にある穴、ダクトだった。
ダクトを見つけた途端、俄然橙の顔にやる気がみなぎってきた。
ダクトに入る、仲間を捜す、牢屋から助け出す、という某潜入ゲームそのままな展開を頭の中に思い浮かべたからだ。
もっともゲーム通りにするには、いろいろ条件がある。そもそも捕まった仲間が存在するのかとか、牢屋に繋がっているのかとか、牢屋が存在するのかとか。
そんな細かい現実的な事柄などアウトオブ眼中のまま、橙は勢いよくダクトの中へと飛び込んだ。
中は真っ暗だった。化け猫の橙は暗闇には慣れていたが、外や通気の出入りのためにダクトに取り付けられた鉄格子くらいしか、光の入り込む場所はない。さすがの橙にも苦戦するほどの暗闇だ。
それでも橙は負けなかった。それどころか、鼻歌まで歌ってノリノリだ。展開が被っているのがよほど嬉しかったらしい。
でもって展開は、さらに橙の望むとおりに動いた。
ダクトに定期的にはめ込まれた鉄格子。その一つが見事牢屋に繋がっていたのだ。
橙が覗き込むとそこには一人、人がいた。鉄格子の真下にいるために顔は見えない。銀色の髪と緑色の服。それに周囲を浮遊する霊魂が見える。
とりあえず、自分の存在を相手に教えるべく橙は鉄格子を拳で叩いた。
本当は。本当は鉄格子をガンガン鳴らして、音で相手に上を向かすつもりだったのだろう。ところが、鉄格子が古かったのか、立て付けが悪かったのか、他に何か理由があったのか、不幸にも鉄格子は橙の一撃で簡単に外れてしまった。
落下した鉄格子は狙いたがわず、真下にいた誰かの頭に激突した。
「ごめんなー。大丈夫かー、妖夢」
眼下で激痛が走る頭を抱える橙の知人、妖夢に橙が声をかける。
頭上からの声でようやく橙の存在に気付いた妖夢が上を見上げる。
「橙・・・。あなた、ここでいったい何しているんです・・・」
問いかける妖夢の目にはうっすらと涙が浮かんでいた。
よほど痛かったらしい。
「あたしねー、あたしはねー。紫様に言われて潜入しに来たの」
「潜入・・・ですか」
「うん。そうなの」
正直に答える橙に妖夢は怪訝な顔をした。いろいろな意味で人選ミスだと思ったのだろう。
「・・・まぁ、助けに来てくれたのなら助かる。他に仲間はいるの?」
「いない!橙一人だよ!」
ダクトに寝転がったまま胸を張って答える橙に、妖夢は目眩を覚えた。本当にこの化け猫は助けになるのか、と。
「とりあえず降りてきたらどうです」
「お、そうだね」
妖夢の提案に賛同し、ちょっと顔を乗り出す橙。ところがすぐにダクトの中に顔を引っ込めてしまう。
「どうしたの」
「妖夢。あのね、ちょっとお願いがあるの」
「・・・なによ」
嫌な予感がした。
「高くて怖いから降りるの手伝って!」
「・・・・・・」
これなら一人大人しく牢屋の中にいたほうが良かったのではないか。
そんなことを考えながら、不安と疲労の入り混じった重い溜息を吐く妖夢だった。
広さはおよそ十畳弱。大型車両も余裕で収容できる広さになっている。
運ぶ物資の重量を考え、相応の強度を持たすため、全て鉄製の資材で組み立てられている。薄汚れてはいるが、丁寧で堅実な造りだ。
物資を乗せる床は凹凸があれば作業や運搬に支障をきたす危険がある。だから、平らになるようちゃんと造られているし、溶接部分も表に出ないよう裏側で溶接されている。
エレベーターの周囲は鉄骨が交差するように、一定の間隔とパターンで組み立てられている。歪みも見えないし、ずれも見当たらない。さらにその周囲を壁で囲い、風除けも完璧だ。
安全対策も当然なされている。エレベーターの使用中に鳴り響くサイレンと黄色いランプの光がそうだ。
エレベーターの大きさを考えれば、一つ間違えるだけで惨事になることは容易に予測することができる。
エレベーターの下に人間がいれば簡単に押しつぶされるだろう。
あるいはエレベーターの端に中途半端に物資を置いて、床と壁で挟んでしまう危険もある。物資はもちろん、エレベーターまでもが潰れる可能性がある危険な事故だ。
だから、エレベーターの使用には、エレベーターが起動していることを周囲に知らせるための手段が必要不可欠なのだ。
でだ。
今この場で、周囲の人間に存在を気付かれると非常に困る人間が一人いる。
エレベーターは起動中だから、当然サイレンとランプも起動中だ。しかもエレベーターは安全のため、非常にゆっくりと上昇していく。人が集まるには十分なほどの時間をかけて、だ。
もし、この状況でエレベーターの外にいる人間に自分の存在を気付かれたら?
気付かれていなくとも、不審に思った人間が集まってきたら?
それは非常に危険な状況だ。下手をすれば最上部に到着したときに攻撃を受け、エレベーターが止まりきる前に殺される危険すらある。
にもかかわらず、当の本人はのんきにエレベーターの中で興奮のあまり走り回っていた。どうやら始めてみる「エレベーター」という機械にすっかり心奪われてしまったらしい。
エレベーターか、なかなかのパワーとサイレンだ。この橙が生まれた幻想郷には巫女しか飛んでいなかった、という感じだ。
「おー?」
エレベーターが終点に近づき、天井と床の隙間から差し込む光が、橙の横顔を照らし出す。
橙が隙間に走りより、隙間から外の様子を覗きこむ。
真っ白い雪原。そこに五人ほど、緑を基調にした戦闘服で身を包んだ人間の姿が見えた。手にはアサルトライフルを一人一丁手にしている。
さらに身を乗り出して五人の姿をよく見ようとした時、橙は潜入前に紫に言われた言葉を思い出した。
『橙。これはスニーキングミッションよ。絶対に見つかってはいけないからね』
「そうだった!」
幸運にも橙の叫び声はサイレンの音に掻き消され、敵に聞こえることはなった。
紫の言葉を思い出した橙はすぐに隠れる場所を探し右往左往する。ところが、今度は不幸なことにエレベーターには荷物一つ乗せられてはいなかった。
隠れられそうな物陰は、ない。
万事休すか。
エレベーターが上がりきり、サイレンもランプも停止した。停止を待っていた五人がエレベーターの中に入っていくる。まずは二人が斥候として中に入り、続いて三人が入り込む。銃口は前に向けられ、いつでも撃てる体勢だ。
エレベーターの中には、驚くことに誰もいなかった。橙の姿もだ。
隠れる場所はないにもかかわらずだ。
先に中に入った二人が中に誰もいないことを確認し、後ろの三人に声を出さず頷くジェスチャーで誰もいないことを伝えた。三人も誰もいないことを確認し頷き返す。
その後もエレベーターの中を警戒し、中を入念に確認しながら、後ろ歩きで五人は立ち去っていった。
それからさらにしらばくして、天井の一角で動く影があった。影は小さな手足を必死に動かし、あぶなっかしい動きで鉄骨を足場に床に降りた。
「ふー。危なかった」
安堵の溜息を吐く影の正体は、紛れもなく橙だった。
隠れる場所がないことに気付いた橙は、頭を抱え天を仰いだときに気付いたのだ。天井の隅が陰になって薄暗いことに。
中に入ってきた五人も橙が天井に隠れているとは想像できなかった。そもそも、五人はエレベーターにいる侵入者が、自分と同じある程度成長した人間、と想定して動いていた。仮に彼らが橙と同じことを思いついても、体を隠しきれるだけ天井に上ることはできないだろう。それこそ天井に張り付くしかないはずだ。だから最初から天井は五人の確認項目の中から除外されていた。
しかし、橙は違った。隅っこに体を寄せればそれだけで体を隠せるだけの小ささが、橙にはあった。
かくして危機を乗り越えた橙はようやく戦艦の中へ、本格的な潜入を開始した。
橙が最初に探したのは、レティがいる場所へ行くための上行きのエレベーターだった。
エレベーターの中に入ってきた五人とそっくりの姿をした見張りの目を盗みながら奥へ奥へと進んでいく。
戦艦の中には荷台が囲いで覆われた軍用車両や、戦車が並べられていた。すぐに心を奪われそうになる自分を諌め、足を進める。
扉の多くは鍵がかけられ中に入ることはできなかったが、中には自動的に開いて橙にも入ることができる部屋もあった。部屋に入った橙は防寒服を脱ぐと並べられた箱の隙間に隠し、代わりに箱の中身を物色し始めた。
残念なことに、某潜入ゲームにも登場した武器もあったが、初期の未熟なグラフィックのせいで現実との差異が大きく橙は気付かなかった。
しかし、何も発見できなかったわけではない。未熟なグラフィックでもステージくらいはちゃんと表現することができる。橙が発見したのは部屋の床にある穴、ダクトだった。
ダクトを見つけた途端、俄然橙の顔にやる気がみなぎってきた。
ダクトに入る、仲間を捜す、牢屋から助け出す、という某潜入ゲームそのままな展開を頭の中に思い浮かべたからだ。
もっともゲーム通りにするには、いろいろ条件がある。そもそも捕まった仲間が存在するのかとか、牢屋に繋がっているのかとか、牢屋が存在するのかとか。
そんな細かい現実的な事柄などアウトオブ眼中のまま、橙は勢いよくダクトの中へと飛び込んだ。
中は真っ暗だった。化け猫の橙は暗闇には慣れていたが、外や通気の出入りのためにダクトに取り付けられた鉄格子くらいしか、光の入り込む場所はない。さすがの橙にも苦戦するほどの暗闇だ。
それでも橙は負けなかった。それどころか、鼻歌まで歌ってノリノリだ。展開が被っているのがよほど嬉しかったらしい。
でもって展開は、さらに橙の望むとおりに動いた。
ダクトに定期的にはめ込まれた鉄格子。その一つが見事牢屋に繋がっていたのだ。
橙が覗き込むとそこには一人、人がいた。鉄格子の真下にいるために顔は見えない。銀色の髪と緑色の服。それに周囲を浮遊する霊魂が見える。
とりあえず、自分の存在を相手に教えるべく橙は鉄格子を拳で叩いた。
本当は。本当は鉄格子をガンガン鳴らして、音で相手に上を向かすつもりだったのだろう。ところが、鉄格子が古かったのか、立て付けが悪かったのか、他に何か理由があったのか、不幸にも鉄格子は橙の一撃で簡単に外れてしまった。
落下した鉄格子は狙いたがわず、真下にいた誰かの頭に激突した。
「ごめんなー。大丈夫かー、妖夢」
眼下で激痛が走る頭を抱える橙の知人、妖夢に橙が声をかける。
頭上からの声でようやく橙の存在に気付いた妖夢が上を見上げる。
「橙・・・。あなた、ここでいったい何しているんです・・・」
問いかける妖夢の目にはうっすらと涙が浮かんでいた。
よほど痛かったらしい。
「あたしねー、あたしはねー。紫様に言われて潜入しに来たの」
「潜入・・・ですか」
「うん。そうなの」
正直に答える橙に妖夢は怪訝な顔をした。いろいろな意味で人選ミスだと思ったのだろう。
「・・・まぁ、助けに来てくれたのなら助かる。他に仲間はいるの?」
「いない!橙一人だよ!」
ダクトに寝転がったまま胸を張って答える橙に、妖夢は目眩を覚えた。本当にこの化け猫は助けになるのか、と。
「とりあえず降りてきたらどうです」
「お、そうだね」
妖夢の提案に賛同し、ちょっと顔を乗り出す橙。ところがすぐにダクトの中に顔を引っ込めてしまう。
「どうしたの」
「妖夢。あのね、ちょっとお願いがあるの」
「・・・なによ」
嫌な予感がした。
「高くて怖いから降りるの手伝って!」
「・・・・・・」
これなら一人大人しく牢屋の中にいたほうが良かったのではないか。
そんなことを考えながら、不安と疲労の入り混じった重い溜息を吐く妖夢だった。
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